オーステナイト系ステンレス鋼を打抜き加工する場合に生じる問題は、凝着摩耗、チッピングと焼付きです。軟質材質のため最初は工具の表面に付着しますが、成形中に硬化し、これが高い応力を生み、チッピングや割れの原因となります。生産ロットの大小、シート材の厚さも、工具鋼を選ぶ際に重要な要素になります。 これらの問題は、耐凝着摩耗性と耐チッピング性に優れた材料を選ぶことで解決できます。
Vanadis 4 Extra SuperClean, Vanadis 8 SuperClean および Vancron 40 SuperClean などのSuperClean 粉末鋼は、大ロット生産に最適です。 Slepner (ASSAB 88), Caldie およびCalmax は、少~中ロット生産に適しています。
硬さと引張り強さに優れたハイテン材の冷間加工には、摩耗、チッピングおよび割れに対する耐久性が高い工具材料が必要です。 これらの特性は、最近使用されているマルテンサイトタイプの超ハイテン材ではより重要です。これらには多様な耐久性を持つ工具材料が求められます。
ハイテン材を打抜き加工する場合には、Vanadis 4 Extra SuperClean, Vanadis 8 SuperClean または Vancron SuperCleanなどのASSAB 粉末鋼が適しています。 ASSAB 88 (Sleipner), Caldieのような新タイプの鋼種も、従来の冷間工具鋼よりも優れた性能を発揮します。
軟質の炭素鋼の打抜きは、さまざまな破壊メカニズムを引き起こします。 生産ロット量、ワーク材の厚さ、部品形状の複雑さが破損の原因となる場合があります。ほとんどのタイプの鋼材が中炭素鋼の打抜きに使えますが、工具鋼選びは生産コスト全体に影響を与えます。
材料の厚さが増すと、チッピングのリスクが高くなります。工具と材料が部的に溶着すると、凝着摩耗および焼付きを引起こすりスクが高くなります。 ピアシングを行う場合は、厚さが増すと必要な面圧強度も増すため、割れの原因となることがあります。 SuperClean 粉末鋼のような清浄度のレベルが高く、母材に炭化物が均一に分散している工具鋼を選ぶことが重要です。